2016年8月2日火曜日

Wifi 電波強度と電波法

無線LANの電波の届く範囲・距離について

無線LANルーターを購入する時、「このルーターの電波は家のどこまで届くのか?」ということが非常に気になります。明快な「ものさし」はありませんが、参考になる情報をご紹介しましょう。

電波法について

日本の電波法は、無線LANルーターやトランシーバーなど「免許を必要としない無線局」の出力上限を定めています。2010年に改正電波法が公布され、この出力上限は従来の10mWから1000mWへと引き上げられました。しかしこの上限は現状では無線LANルーターに適応されておらず、どんなに「ハイパワー」を謳っている無線LANルーターも、日本国内で正規に販売されているものであれば10mWの上限を越えていないはずです。
無線LANルーターの仕様やカタログスペックにも電波出力が記載されたものをあまり見かけないのはこのためで、各メーカーとも法律の定める上限の範囲内ギリギリに設定しているため電波出力では差別化がはかれないからです。

電波はどこまで届く?

電波法を守って出力を10mW以下に設定してある無線LANルーターの電波はどこまで届くのでしょう?
IEEE802.11n規格のルーターを使って実験した人によると「まったく障害物のない状況であれば、直線距離100mくらいなら通信が可能。最大250mでの通信に成功」との報告があります。
しかし、電波は障害物にぶつかると減衰しながら反射する性質があります。ただし障害物の材質によって減衰率が異なります。また、電波は紙や木材などの材質なら、ある程度突き抜けることができます。また無線LANには「途中に少しでも障害物があると極端に電波到達距離が落ちる」という特性があり、壁はおろか、ふすま1枚隔てただけでも電波の強度に影響があります。
つまり、家庭内の無線LANのつながりやすさはルーターの電波出力の問題ではなく、いかに障害物に電波の邪魔をさせないかで決まる、といえます。電波は障害物にぶつかると減衰しながら反射する性質があります。ただし障害物の材質によって減衰率が異なります。また、電波は紙や木材などの材質なら、ある程度突き抜けることができます。同じルーターを使用しても、鉄筋コンクリートのマンションと木造住宅とで利用できる距離が大きく変わってくるのは、このような電波の性質によるところが大きいのです。

「ハイパワーモデル」の謎

多くのメーカーでは、無線LANルーターの製品説明のページに「電波が何メートルくらい飛ぶか、どれぐらいの広さの家までカバーできるか」の具体的な数字を明記していません。それは上記のような理由で同じ広さの家でも材質や家具の配置、壁のちょっとした厚さの違いなどで状況はまったく異なってくるため、一概に言えないためです。
エレコムの製品紹介ページでは「利用目安」を表示しており、「マンションなら何LDK程度、木造住宅なら○階建程度」という目安を提示しています。これもあくまでも目安であって、必ず電波が届くことを保証するものではありませんが、購入の際の参考としてご利用ください。

ルーターのつながりやすさは「アンテナの差」

一部の無線LANルーターには「ハイパワーモデル」というものがあり、一般的なルーターよりも通信速度が早く、またカバーできるエリアも広いことを明記しています。これはどのような根拠によるものでしょうか?
実は、その差は、アンテナの性能やアンテナ数によって発生します。
据置型の無線LANルーターには、外部からアンテナが見えない「アンテナ内蔵タイプ」と、外部にアンテナが突出している「アンテナ外付けタイプ」があります。外付けアンテナの方が強力というわけではありません(出力数は上記のように上限が決められていますから)。しかし、電波というものはアンテナから垂直方向に同心円上に伝わっていくという性質があります。ですから、外付けアンテナの角度をいろいろと変えてみることで、家庭内の無線LAN機器との電波感度が変わってくるのです。アンテナが2本、3本あるものはそれぞれのアンテナの向きを微調整することで、電波の届かない死角を減らすことができます。
また、複数のアンテナを束ねて使い、通信速度を向上させる「MIMO(Multiple Input Multiple Output)」という技術もあります。このようなアンテナの違いによって、出力は同じでもつながりやすさや通信速度を向上させることができるのです。
無線LANの電波の届く範囲は、ルーターの電波出力ではなく、無線LANのこのような性質によって決まります。電波の到達距離を伸ばしたい、あるいは電波の死角をなくしたいという場合、このような特性を理解したうえで対策法を検討すべきでしょう。

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